課題・解決手段マトリクスマップの作成(ラベル作成〜分類〜マップ化~コメント付与)

課題・解決手段マトリクスマップの作成(ラベル作成〜分類〜マップ化~コメント付与)

特定の技術分野における特許集合(母集団)を分析する際、「どのような課題に対して、どのような解決手段が取られているか」を俯瞰することは、技術動向や競合の戦略を把握するために非常に重要です。
しかし、数百〜数千件の特許を読み込み、手作業で分類軸を作成してマップ化するには多大な労力を要します。

本記事では、生成AIを活用して以下のステップで「課題・解決手段マトリクスマップ」を効率的に作成とコメント付与方法を解説します。
1.ラベル作成: 母集団の傾向から、分析の軸となる「課題」と「解決手段」の候補を抽出する
2.ラベル付与: 各特許文献の内容をAIが読み取り、適切なラベルを自動でタグ付けする
3.マップ作成: 分類結果を集計し、マトリクスマップ(バブルチャート等)として可視化する
4.マップに対する分析コメント付与: マップで可視化した結果について、分析のコメントをしてもらう

1.ラベル作成

分析設定

「新規分析設定(β版)」を選択し、プリセット指示文の「課題と解決手段のラベル作成」を選択します。

<指示文>

プリセットを選択すると、指示文が自動で反映されます。




出力形式

「表形式」を選択してください。

<分析対象設定>

「AIサマリー用途」、「AIサマリー課題」、「AIサマリー効果」、「AIサマリー特徴」の4つを選択します。
AIサマリーは、コンパクトなテキストで各観点をまとめているため、生成AIに投入するテキスト量を抑え、大量の母集団件数の処理が可能となり、かつ低コストで処理ができます。
AIサマリーグローバルを契約している場合は、海外特許の母集団を対象にして、課題・解決手段ラベルの作成も可能です。


<AIモデル設定>

「gemini-2.5-pro」を選択します。
分析対象によっては、対象となる母集団の件数が多くなる可能性もあり、geminiシリーズは、最大入力トークン数(入力文字数)が多いためです。

検索条件設定

分析対象となる検索母集団を設定します。
今回は、「AIサマリー名称/一文要約/用途/課題/効果/特徴」のテキスト検索で、「ドローン 物流」で検索を実行します。
物流シーンにおいて、どのようにドローンが活用されているのかを、課題・解決手段マトリクスで分析してみます。



<対象設定>

追加件数は、「400」にします。
上記の検索母集団が384件のため、384件以上の件数を指定します。

出力結果

指示文で入力したとおり、課題と解決手段ラベルが、表形式で出力されました。
表DLをクリックすることで、表をエクセル形式でダウンロードできます。
以上までのステップで、課題・解決手段ラベルの作成が可能です。




2.ラベル付与

ステップ1で作成したラベルを使用して、分析対象となる384件の特許に対して、ラベルを付与します。

査読設定

「新規査読設定」を選択し、以下指示文を入力します。
発明課題 発明課題の説明、解決手段 解決手段の説明については、ステップ1で出力したエクセルをコピー&ペーストすると作業が楽になります。

<指示文>

発明の内容を注意深くチェックして、発明の内容が、以下のラベルのどれに該当するか判定してください。
また、その判定根拠も出力してください。

発明課題 発明課題の説明
ドローンポートの機能高度化 ドローンの着陸精度、荷役効率、耐候性、省スペース化、充電機能など、ドローンポートに求められる多様な機能を向上させる必要性。
 複数ドローンの衝突回避と安全運航 複数のドローンが同一空域を飛行する際の衝突リスクを低減し、安全な運航を確保する必要性。
複合物流における最適経路計画 ドローンと車両など、複数の輸送手段を組み合わせた物流において、コストや時間を最小化する最適な配送ルートを迅速に決定する必要性。
複数ドローンの協調・遠隔制御 編隊飛行、重量物共同運搬、通信中継など、複数のドローンを連携させて単一のタスクを遂行するための、安定的で効率的な制御・通信技術の確立。
航続距離の延伸と効率的な充電 バッテリー容量の制約によるドローンの飛行時間や距離の限界を克服し、より長距離・長時間の運用を可能にする必要性。
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 機体の故障、通信途絶、急な悪天候といった予期せぬ事態が発生した際に、機体の墜落による被害を最小限に抑える必要性。
物流プロセスの自動化・効率化 倉庫内でのピッキング、荷物の積み下ろし、在庫管理といった一連の物流プロセスにおける人手への依存を減らし、全体を効率化する必要性。
大規模運航管理システムの構築 多数のドローンが社会インフラとして安全かつ円滑に運用されるための、交通整理や認証、飛行計画承認を行う統合的な管理システムの必要性。
機体性能の向上と安定化 荷物搭載時の重心変化への対応、強風下での飛行安定性、騒音の低減、積載量の増加など、ドローン機体そのものの基本性能を向上させる必要性。
多様な環境下での安定飛行実現 GPSが利用困難な屋内、ビル街、山間部や、悪天候下など、様々な制約のある環境でも正確な自己位置を特定し、安定した自律飛行を実現する必要性。

解決手段 解決手段の説明
高精度・高効率なドローンポート機構 着陸誘導、荷役自動化、耐環境性向上(耐風・防水)、省スペース化を実現するドローンポートの機械的・構造的工夫。
動的な衝突回避・運航制御技術 飛行状況をリアルタイムに検知・予測し、ドローン間の距離や優先順位を制御することで、衝突を回避し安全な飛行経路を維持する技術。
異種輸送手段連携による経路最適化 ドローンと車両等の異なる輸送手段の能力や制約を考慮し、最適化アルゴリズムを用いて全体の輸送効率を最大化する経路を算出する技術。
複数機連携による通信・制御システム 編隊飛行やスウォーム制御、中継通信など、複数のドローンが協調して一つのタスクを遂行するための通信プロトコルや制御アーキテクチャ。
多様な充電・給電技術の活用 既存インフラ(鉄道架線等)や他の移動体(車両等)からの給電、空中給電、ハイブリッド動力源などにより、ドローンの航続距離を延伸する技術。
フェールセーフ機構と緊急時対応システム 落下防止装置(パラシュート等)や自動緊急着陸機能、機体回収支援(浮き具等)により、異常発生時の被害を最小限に抑える安全技術。
物流拠点連携と荷役自動化技術 倉庫管理システム(WMS)と連携し、ドローンやAGV(無人搬送車)を用いてピッキング、荷物の積み下ろし、管理を自動化・効率化する技術。
統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 多数のドローンが安全に空域を利用するための、機体認証、飛行計画承認、交通情報共有、リアルタイム監視などを行う統合的な運航管理システム。
機体構造・空力特性の最適化 荷物搭載時の重心変動抑制、耐風性の向上、空気抵抗や騒音の低減など、機体の構造や形状の工夫により飛行性能と安定性を高める技術。
非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 SLAM、画像認識(ARマーカー等)、各種センサー情報を組み合わせることで、GPSが利用困難な環境でもドローンの正確な位置を特定し、自律飛行を実現する技術。



出力形式を定義

出力形式を定義」を使用することで、生成AIの査読結果を項目毎に出力させることができます。

<名前>

任意の名前を設定します。今回は、「課題ラベル」とします。

<ラベル>

ラベルを作成することで、生成AIは、作成されたラベルから選択して出力するように挙動します。さらに、出力の表記ゆれを可能な限り減らすことが可能です。
ラベルを作成するときは、「ラベル一括作成」を選択し、エクセルの課題ラベルの列をコピー&ペーストすると作業が楽になります。
Idea
生成AIによる分類を行う際、使用するモデルによっては、数字の全角・半角の違いや、記号の有無といったわずかな差異によって、本来同じグループであるはずのものが別のラベルとして扱われてしまうことがあります。
集計時のミスを防ぐため、ラベルは数字、記号(カッコ、ハイフン等)、アルファベットの大文字・小文字の使用は極力避けることをおすすめです。

非推奨(表記ゆれの原因になります)
1. 軽量化 (数字が含まれている)
Cost-Down (ハイフンや大文字小文字の区別が必要)
(A)耐久性 (カッコや全角英数が含まれている)

推奨(シンプルなテキスト)
軽量化
コストダウン
耐久性


<出力数>

「出力数」は、複数のラベルを付与させたい場合に選択します。また、付与ルールにも同様の旨を明記することが望ましいです。

<付与ルール>

発明の内容が、ラベルのどれに該当するか判定してください。
複数該当する場合は、複数付与してください。ただし、最適なラベルがあれば、そのラベルを優先して付与して、それ以外は付与しないようにしてください。あくまで、どうしても複数付与する必要がある場合にのみ、複数付与してください。


次に、課題ラベルの判定根拠を出力してもらいます。根拠を出力してもらうことで、ラベルの妥当性の評価ができます。

#2 課題_判定根拠
出力数:単一
付与ルール:課題ラベルの判定根拠を、明細書等を引用して、根拠を明確に出力してください。

同様に、解決手段ラベルについても、項目を作成します。

<査読対象設定>

「明細書」 または 「課題」、「効果」、「課題を解決するための手段」を選択します。
公報の原文をテキストに基づいて、ラベル付与することで、根拠が明確になり、妥当性の確認がしやすくなるためです。

<AIモデル設定>

大量の文献を処理する必要があるため、コストパフォーマンスに優れた「gemini-2.5-flash」を選択しました。
また、geminiシリーズは、他のモデルと比較して、ラベル付与の表記ゆれが一番少ない印象があります。

検索条件設定

「1.ラベル作成」と同じ検索条件を設定します。
※「AIサマリー名称/一文要約/用途/課題/効果/特徴」のテキスト検索で、「ドローン 物流」で検索を実行します。

<対象設定>

追加件数は、「400」にします。
上記の検索母集団が384件のため、384件以上の件数を指定します。

出力結果

384件の分析対象特許について、課題ラベルと解決手段ラベルが付与されました。
判定根拠を参照することで、ラベルの妥当性も確認することができます。


3.マップ作成

最後に、付与されたラベルを使用して、分析対象382件の特許について、マトリクスマップを作成します。

<査読アシスタントの有効>

査読結果画面の右上のボタンをクリックして、「査読アシスタントを有効」を選択します。



<査読対象番号一覧で検索>

「査読アシスタントを有効」にしたあと、「査読対象番号一覧で検索」を選択します。
選択すると、検索結果画面に遷移し、分析対象の母集団(今回だと、384件)の検索結果画面が表示されます。

<集計条件の設定>

検索結果画面の左に表示されている、マップの集計軸(集計条件)を選択し、「共通」→「AI査読支援」→「・・・課題ラベル」を選択します。
2軸目(クロス集計項目)も同様に、「・・・解決手段ラベル」を選択します。


<マップ種別の選択>

マップ種別で、「バブルチャート」を選択することで、課題・解決手段のマトリクスマップを出力することができます。
集計条件やマップ種別を切り替えることで、課題ラベルや解決手段ラベルを利用した多様な分析もできます。
下図は、「課題」と「出願人」を選択し、バーヒートマップで、ドローン物流のテーマで、各出願人がどのような課題に取り組んでいるか可視化しています。

4.マップに対する分析コメント付与

マップの右上にある「csv保存」を選択して、マップの集計結果をcsv形式でダウンロードができます。



ステップ1「1.ラベル作成」で使用した分析結果画面を開き、追加の指示文を入力します。
さきほどダウンロードしたcsvファイルのテキストデータをコピー&ペーストして貼り付けます。

<追加指示>

384件の特許に対して、課題ラベルを付与して、課題ラベルと解決手段ラベルを集計しました。
入力した下の集計結果を分析して、ドローン物流における出願動向について、コメントしてください。

解決手段ラベル 課題ラベル 件数
複数ドローンの衝突回避と安全運航 動的な衝突回避・運航制御技術 7
ドローンポートの機能高度化 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 2
ドローンポートの機能高度化 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 1
ドローンポートの機能高度化 高精度・高効率なドローンポート機構 44
多様な環境下での安定飛行実現 フェールセーフ機構と緊急時対応システム 1
多様な環境下での安定飛行実現 動的な衝突回避・運航制御技術 4
多様な環境下での安定飛行実現 機体構造・空力特性の最適化 1
多様な環境下での安定飛行実現 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 1
多様な環境下での安定飛行実現 複数機連携による通信・制御システム 2
多様な環境下での安定飛行実現 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 26
多様な環境下での安定飛行実現 高精度・高効率なドローンポート機構 1
大規模運航管理システムの構築 動的な衝突回避・運航制御技術 2
大規模運航管理システムの構築 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 32
大規模運航管理システムの構築 複数機連携による通信・制御システム 4
大規模運航管理システムの構築 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 2
機体性能の向上と安定化 動的な衝突回避・運航制御技術 2
機体性能の向上と安定化 多様な充電・給電技術の活用 2
機体性能の向上と安定化 機体構造・空力特性の最適化 29
機体性能の向上と安定化 物流拠点連携と荷役自動化技術 2
機体性能の向上と安定化 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 2
物流プロセスの自動化・効率化 動的な衝突回避・運航制御技術 3
物流プロセスの自動化・効率化 機体構造・空力特性の最適化 3
物流プロセスの自動化・効率化 物流拠点連携と荷役自動化技術 67
物流プロセスの自動化・効率化 異種輸送手段連携による経路最適化 4
物流プロセスの自動化・効率化 複数機連携による通信・制御システム 1
物流プロセスの自動化・効率化 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 3
物流プロセスの自動化・効率化 高精度・高効率なドローンポート機構 3
航続距離の延伸と効率的な充電 多様な充電・給電技術の活用 19
航続距離の延伸と効率的な充電 機体構造・空力特性の最適化 6
航続距離の延伸と効率的な充電 異種輸送手段連携による経路最適化 3
航続距離の延伸と効率的な充電 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 1
航続距離の延伸と効率的な充電 複数機連携による通信・制御システム 1
航続距離の延伸と効率的な充電 高精度・高効率なドローンポート機構 1
複合物流における最適経路計画 動的な衝突回避・運航制御技術 1
複合物流における最適経路計画 物流拠点連携と荷役自動化技術 1
複合物流における最適経路計画 異種輸送手段連携による経路最適化 19
複数ドローンの協調・遠隔制御 動的な衝突回避・運航制御技術 27
複数ドローンの協調・遠隔制御 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 3
複数ドローンの協調・遠隔制御 複数機連携による通信・制御システム 27
複数ドローンの協調・遠隔制御 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 2
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 フェールセーフ機構と緊急時対応システム 19
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 動的な衝突回避・運航制御技術 6
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 多様な充電・給電技術の活用 2
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 機体構造・空力特性の最適化 1
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 異種輸送手段連携による経路最適化 1
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 統合管制プラットフォーム(UTM)の構築 2
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 複数機連携による通信・制御システム 2
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術 1
飛行異常時の安全性確保とリスク低減 高精度・高効率なドローンポート機構 1

出力結果

ドローン物流における特許出願動向の分析コメント

ご提示いただいた384件の特許の集計結果を分析したところ、ドローン物流の技術開発は、単なる機体の性能向上から、物流プロセス全体と社会インフラとしてのシステム構築へとフェーズが移行しており、実用化・社会実装に向けた具体的な課題解決が活発に進んでいることが明らかになりました。

主要な出願動向として、以下の点が挙げられます。


1. 開発の最重点は「物流プロセス全体の自動化・効率化」

  • 「物流プロセスの自動化・効率化」を課題とする特許が67件と最も多く、ドローンを物流システム全体の一部として捉える視点が主流であることが示されています。
  • 解決手段は**「物流拠点連携と荷役自動化技術」に集中しており、倉庫管理システム(WMS)やAGV(無人搬送車)と連携した自動ピッキング、荷物の積み下ろし、在庫管理**といった、物流拠点における一連のプロセスをいかに自動化するかが最大の焦点となっています。これは、ドローンが空を飛ぶだけでなく、地上でのオペレーションとシームレスに連携することが、真の効率化の鍵であるという認識の表れです。

2. 「地上インフラ(ドローンポート)」と「空の交通インフラ(UTM)」の整備が加速

  • **「ドローンポートの機能高度化」(44件)「大規模運航管理システムの構築」(32件)**がそれぞれ2位、3位に位置しており、ドローンを支えるインフラ技術への注目度の高さがうかがえます。
  • ドローンポートに関しては、高精度な着陸誘導、荷役の自動化、耐候性、充電機能といった**物理的な機構(ハードウェア)**の開発が中心です。
  • 大規模運航管理では、多数のドローンが安全に空域を共有するための**統合管制プラットフォーム(UTM:UAS Traffic Management)の構築(ソフトウェア・システム)**が重要課題となっています。
  • この2つの動向は、ドローン物流を社会に実装するための「地上基地」と「空の交通網」の両輪で開発が進んでいることを明確に示しています。

3. 「複数ドローンの協調・衝突回避」技術が極めて活発

  • **「複数ドローンの協調・遠隔制御」という課題に対し、「動的な衝突回避・運航制御技術」(27件)「複数機連携による通信・制御システム」(27件)**が同数で最多となっており、この分野への関心が非常に高いことが分かります。
  • これは、単機での運用だけでなく、編隊飛行による重量物運搬や、同一空域での高密度な運航といった、より高度な活用シーンを見据えた技術開発が活発であることを示唆しています。リアルタイムでの衝突回避(ソフトウェア制御)と、機体間での安定した通信(通信技術)の両面からアプローチが進められています。

4. 機体性能と自律飛行技術の継続的な進化

  • **「機体性能の向上と安定化」(29件)「多様な環境下での安定飛行実現」(26件)**も依然として主要な開発テーマです。
  • 前者は、耐風性や積載量向上といった機体構造の最適化が中心であり、ドローンというハードウェア自体の基礎的な性能向上が継続的に追求されています。
  • 後者は、GPSが利用できない屋内やビル街での飛行を可能にする**「非GPS環境下での自己位置推定・誘導技術(SLAMなど)」**が中心であり、ドローンの活動領域を拡大するための自律性の向上が図られています。

総括

ドローン物流に関する特許出願は、**「物流拠点(地上)」「ドローン単機・複数機(空中)」「運航管理システム(空域)」**という三位一体でのシステム構築を目指す方向性が明確です。特に、物流プロセス全体を自動化する技術や、ドローンポート、UTMといった社会インフラに関連する技術に開発リソースが集中しています。これは、ドローン物流が概念実証の段階を終え、本格的な社会実装と事業化を見据えた、より具体的かつ包括的な技術開発フェーズに入ったことを強く示唆しています。


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